人材を雇用する際の注意点
どんな企業であれ、会社の業績が上がるも下がるも人材に左右されることは明確です。どんなに優秀な経営者でも自分1人が出来る仕事量は限られています。
仕事量が増加してくると、従業員の雇用を行なわれると思いますが、人材を雇用する際にはいくつかの注意点があります。
1.採用ミスを防止する
従業員の雇用に対し、貴社は募集から雇用確定まで、どのようなフローで行なっていらっしゃるでしょうか?
一般的には、職業安定所や雑誌・ネット等の媒体に求人募集を行ない、応募者があれば、履歴書のみを信用し、面接を行ない、試用期間を経て採用という流れでしょうか?
採用ミスによるリスクやコストについて、簡単にご紹介させていただきます。
コストでは、採用コスト・賃金・研修費用のみではありません。最も大きなリスクやコストは、逸したビジネスチャンスです。営業マンの対応が悪く、新規の見込客はもちろん、1番の得意先からの契約解除ともなれば、どれほどの損失となるでしょうか?工場の従業員だと、異物の混入や、いいかげんな品質管理・梱包等で、継続して受注していた取引先からの契約解除で、倒産した事業所も少なくありません。
このような不要な時間やコスト・リスクを回避するために、事業主は質の高い従業員を雇用する方法を学ばなければ、いつか手痛い思いを被ってしまうでしょう。
2.雇用形態は合理的か
従業員は一概に正社員とパートタイマーのみで構成されていると思われていませんでしょうか?そして勤務体系はいかがでしょうか?
平成30年度に制定された「働き方改革」に伴い、ワークライフバランスの取れた多様な働き方があります。
事業主も正社員とパートタイマーだけでなく、従業員に応じた合理的な雇用形態を考える必要があります。
弊社では、中小・零細企業に特化した「失敗しない採用術講座」を随時行っております。ご興味のある方はお問合せください。
新たに雇用した従業員は、右も左も分かりません。いかに優秀なポテンシャルを秘めた従業員を確保できたとしても、貴社では、部下の適性を見抜きモチベーションを高める仕組みが構築されているでしょうか?
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「人材マネジメントのあり方に関する調査」によると、「多様な雇用区分間で異なる人材育成上の課題」に関する問いに関して、雇用形態を問わず「業務が多忙で、育成の時間的余裕がない」との回答が最多となりました。また、正社員において次に多かったのは「上長等の育成能力や指導意識が不足している」となりました。
日本は今、深刻な人手不足に陥っています。団塊の世代がどんどん退職していく中、少子化により入社する社員は減少し、社員一人ひとりの負担は増大しています。そんな中、直接自身の業績に繋がらない人材育成を任されれば、つい片手間になってしまったり、業務とのバランスが取れない状況に陥ってしまいます。まずは働き方の改革、そして、人材育成も業務の一環としてしっかり取り組めるような人事施策の整備が急務となっています。
人材育成が重要なのは大企業でも中小企業でも同じです。
しかし、少数精鋭で経営している中小企業は、人材育成が経営に直結しやすいので、大企業より早期での人材やリーダーの育成が求められます。
もともと中小企業の経営では、製品やサービスの質での競争力が強調されていたため、企業業績と人材の関係にあまり注意が払われていませんでした。
しかし、従業員一人ひとりの能力や行動が企業の競争力と業績に影響する度合いは大企業よりも高いため、企業の競争力が経営に大きく差が出る現在、人材育成に消極的なままでは、存続を危うくすることにもつながりかねません。そのため効果的な人材育成が不可欠になってきています。
人材育成といえば、実務研修であるOJTを実施している企業は数多くあります。
しかしその反面で、人材育成を託された現場には人的余裕がないケースも少なくありません。
特に少数で経営している中小企業はその傾向が高いのではないでしょうか。
厚生労働省の調査では、7割以上の企業で、人材育成に問題を感じているとの調査結果も出ています。
社長(上司)に求められる人材育成能力とは、まず部下の育成計画の立案能力です。いつまでに、どのようなスキルを、どのレベルまで習得するかというプランを立て、それを部下の意向に耳を傾けながら進めます。また、適材適所な仕事の割り振りも重要な能力の一つ。どのメンバーにどの仕事を割り振れば業績がアップするのか、という視点だけではなく、メンバー自身がその仕事から何を学びどう成長できるのか、という視点も併せ持つ必要があります。
OJTの特徴
1)仕事に直接必要な教育を効率よく実施できる
OJTは、仕事に必要な実践的な知識やスキル・技能の習得に適しています。
職場での仕事を通じて教育ができ、教育する機会も多く、時間的に無理なく実行できます。
また、教育にかかるコストも安く抑えることができます。
2)個別教育なので、効果を上げやすい
職場における教育は、教えられる側の能力や個性に応じて行われます。
個別教育なので、効果も上げやすいです。
3)日常の仕事を通じて、継続的に実施される
日々の業務指導を通じて、絶えず教育が行われることになります。
否応なく、上司の仕事の進め方は部下に伝わり、影響を与えることになります。
このように、OJTは日常の仕事を通して人材を育成していくので、部下の育成には最適な教育方法であると言えます。
4)教える側の成長につながる
部下の指導・育成を通じて、教える側の先輩社員、上司自らも成長できます。
off-JTの特徴
一方、仕事を進めていく上で必要な知識やスキル、技能などを修得するために職場を離れて研修を行うのが、off-JTです。
off-JTには、次のような特徴があります。
1)階層・部門に共通に必要な事項を学ぶことができる
Off-JTでは、日常業務に忙しい上司に代わって、専門の講師が担当することが多いです。
ここでは、各階層や部門に共通して必要となる知識やスキルなどを、効率よく学ぶことができる。
2)日常の仕事を通じて習得することが難しい知識・技術を学ぶことができる
日常業務の中ではなかなか得ることのできない新たな経営動向や技術動向など、最新の知識・技術をまとまって学ぶことができます。
3)経営マネジメントに関する体系的な知識を学ことができる
職場では、日常的に直面する仕事や課題に対応することに追われてしまいがちです。
そこで、日常業務から離れた場で、マネジメントの理論などを体系的に学習することにより、仕事を全社的な観点から見直すことができます。
また、自分の職務の位置づけを明確に理解することができます。
OJT・off-JTのメリット・デメリット
メリット | デメリット | |
OJT(職場内研修) | ・職場で手軽に実施できる ・実施費用が特にかからない ・仕事に必要な、実践的な内容を教えることができる ・上司や先輩にとっても成長、自己啓発の機会となる |
・体系的、理論的な内容を教えるには不向きである ・職場や教える人によって、内容や頻度にバラツキがでる ・相互学習の刺激が得にくい |
Off-JT(職場外研修) | ・体系的、理論的な内容を教えることに向いている ・職場を離れることで、新たな気付きを得ることができる ・受講者とのコミュニケーションが図れ、社内の人脈・ネットワーク拡大につながる |
・すぐに仕事に役立つ内容ではないものがある ・時間や費用がかかる |
従業員満足度(ES)が会社におよぼす影響
従業員満足度の定義についてお話しします。従業員満足度を指すESとは「Employee Satisfaction」の略称です。
従業員の待遇だけでなく、
福利厚生
マネジメント
職場環境
仕事のやる気、モチベーション
といった面で、会社で働くことの満足度を高めることで、個人・組織のパフォーマンスを向上させ、業績を向上できるというものです。
日本では顧客満足度(CS/Customer Satisfaction)という考え方が先に浸透した感は否めませんが、従業員満足度を向上させることで、スタッフが対外的にもモチベーション高く接することができ、結果的に顧客満足度も向上することが多いのです。
よって、これからの企業発展のために、従業員満足度という考え方は欠かすことができないと考えています。
従業員満足度が企業におよぼす影響は、以下の3つで説明できます。
・労働生産性におよぼす影響
・CS(顧客満足度)におよぼす影響
・人的資源におよぼす影響
たとえば、従業員満足度の高い企業は、やらされ感/イヤイヤ感を持っていないため、いかに生産性を向上させるかにメンバーが前向きに取り組めます。
顧客満足度に対しても、企業への帰属意識が高まるため、心のこもった対応が可能になり、結果顧客満足度も高まります。
CSは従業員満足度より前に日本では注目された概念ですが、従業員満足度を犠牲にしたCSはいつか崩壊します。
一時的に支持を得ることはできても、遅かれ早かれメンバーの企業へのロイヤリティは低下し、不満退職の増加・人的資源が蓄積しないといった状況が起こるでしょう。
従業員満足度の高い場合
生産性:やらされ感がない/前向きな生産性改善・提案・チームのパフォーマンス向上
CS:心のこもった対応によるCS向上/CS向上による従業員満足度向上の相乗効果
人的資源:会社へのロイヤリティ向上/紹介採用の増加/優秀な人材の定着・成長
従業員満足度の低い場合
生産性:やらされ感がある/生産性向上に踏み切れない・積極的に推進しない/必要なことだけやっている
CS:心のこもった対応ができない/長期的にCSも低下する
人的資源:会社へのロイヤリティ低下/不満退職
ある統計では、入社して3年以内に正社員が退職すると、1,000万円以上のコスト損失になってしまうというデータもあります。
エース級の人材が辞めてしまった場合は、更に損失が大きくなります。
顧客流出につながる
他社員の連鎖反応的な退職
会社の士気低下
といったダメージがあります。
逆に、従業員満足度が高い企業は、評判が評判を呼び、紹介採用や競合からの優秀な人材流入も期待できるでしょう。
従業員満足度を高めることは、企業の経営課題といっても良いものです。
利益や顧客満足度と同等、むしろ長期的に見ればそれ以上に重視すべきものだと考えています。
従業員満足度を構成する主な要素
①会社の理念・ビジョン・風土への共感
②日々の管理や処遇、権限等が適切に行われている
③社会貢献や自己成長の達成感
④職場環境の快適さ
⑤働き甲斐がある給与体系や人事評価制度
弊社では、従業員満足度を高め、高い職場定着率を保つ取組みをアドバイス・取組み事例の紹介等の支援を行なっております。
国の制度を活用した人材育成
人材育成を行うとなると、時間も費用も必要となってきます。
中小企業にとっては、限られた人員の中から指導する人員を割くことはなかなか困難ということが現状です。
さらに費用もかかってくるとなれば、なかなか人材育成に踏み切ることは躊躇してしまいます。
現在、求人費用や研修費用、従業員満足度を高める取組みやスキルアップの為の休暇制度、傷病・介護・育児等と仕事の両立に向けた取組み、非正規従業員への待遇向上、少子高齢化に対する取組み、多様な働き方に対する取組み、賃金の見直し、勤務時間の見直し等に対し、様々な国の制度が活用できます。
弊社では、人材雇用から育成、定着までの一連の流れをワンストップでご支援させて頂いております。まずはお気軽にお問合せください。